カテゴリ:反緊縮経済 MMT/公共貨幣論/リフレ



「グリーン・ニューディールの財源調達論」(ネルシシアン&レイ著、cargo訳)
翻訳 · 10日 8月 2022
このワーキングペーパーは、J.M.ケインズがHow to Pay for the War (戦費調達論) という小冊子の中で発展させた方法論に従い、グリーン・ニューディール (GND) の 「費用」 をリソース需要の観点から推定する。必要となる政府支出の推計値を単純に合計するのではなく、GNDプロジェクトの実施に充てられるリソース(resources)の利用可能性を評価するのである。これには、未利用あるいは未活用の資源を動員するとともに、資源を現在の破壊的・非効率的な利用からGNDプロジェクトに移行することが含まれる。我々は、通貨主権を有する米国政府にとって支払い能力(affordability)は問題にはならないと主張する。むしろ、十分な資源をGNDに回せない場合はインフレが問題となる。そしてインフレの可能性が高い場合には、ターゲットを絞った徴税や、賃金・価格規制、配給制、自発的な貯蓄などのインフレ対策が必要となるだろう。

バルファキスのグリーン・ニューディールは、ベーシック・インカムで「公正な移行」を支えるー化石燃料産業からの移行による社会経済的な混乱を避けるために
論文・報告書 · 13日 4月 2021
グリーン・ニューディール(GND)は、気候危機と経済危機を乗り越えるために、社会・経済の抜本的な改革を行う政治的アジェンダである。しかし産業構造の転換は、歴史上、多くの「痛み」を伴った。労働者たちの生活状況を、悪化させることのない「公正な移行」が求められる。パンデミックに伴う経済危機と気候危機に直面する今こそ、原子力産業や化石燃料産業からグリーン産業への転換を推進するGNDと、それを支えるユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)が必要とされている。

反緊縮グリーン・ニューディールこそパンデミックからの回復策(長谷川羽衣子著、早川健治訳)
論文・報告書 · 10日 4月 2021
世界は今、大きな転換点を迎えている。この数十年間、新自由主義に則り、財政削減などを推進して来た国々や世界銀行、そしてIMFが、危機に直面したことで一転してケインズ的な積極財政主義に立ち返ったのだ。各国は政府や公共の役割を見直し、財政出動に方針転換せざるを得ないだろう。重要なのは、パンデミックからの回復策と財政出動は、私たちが直面している、格差・貧困と気候変動という2つの大きな危機を克服する物でなくてはならないことだ。その戦略こそ、反緊縮政策に基づいたグリーン・ニューディールなのである。

翻訳 · 03日 12月 2020
概要:大恐慌によって、ニューディールが後押しされた。経済を回復させ、貧困者や失業者を救済し、国内の金融システムの根幹を改革するためである。今日では、気候変動の差し迫った悪影響により、各国政府はこれに似たグリーン・ニューディールを提案している。最近、Energy Research & Social Science誌で、ガルビンとヒーリーは、米国のグリーン・ニューディール提案の経済的実行可能性と、広範な社会的・貨幣的・環境的インプリケーションを批判的に検証した。

論文・報告書 · 30日 11月 2020
To cite this article: PARK Seung-Joon, Uiko HASEGAWA and Tadasu MATSUO (2020) “On the Anti-Austerity Green New Deal”, Review of Environmental Economics and Policy Studies, 2020, 13(1), pp. 27-41 Translation: Kenji Hayakawa

翻訳 · 13日 11月 2020
オカシオ=コルテス下院議員とマーキー上院議員によって提起された米国グリーン・ニューディール(GND )決議と、バーニー・サンダース上院議員のより詳細な、完全なコスト表を含むバージョンの特徴を概説した論文を翻訳・公開する。 この優れた論文は、GNDの最も顕著な特徴のうちの 2 つ、マクロ経済学と気候変動対策と経済的不平等改善との表裏一体の結びつきに焦点を当てている。 特にサンダースGNDのコスト試算は必読である。

翻訳 · 05日 11月 2020
アメリカの連邦議会上院議員で、民主党の有力大統領候補としてヒラリー・クリントンやジョー・バイデンと接戦を繰り広げたバーニー・サンダースは熱狂的な支持者が多いことで知られている。彼の政策は国民皆保険や住宅保証、雇用保障、高等教育の無償化など、格差や貧困を是正し、公正な社会を築くことに重点を置いており、アメリカのプログレッシブ派(進歩派)の代表として知られている。また、彼はグリーン・ニューディールを主要政策に位置づけており、非常に野心的な産業・社会構造の転換を伴う、低炭素社会へのロードマップを打ち出している。これらはルーズベルトの大統領の政策を参考にしており、実に60 兆ドル(6600 兆 円 )規模の公共投資政策である。サンダースの政策の詳細と、その「財源」、そして経済顧問のひとりであるケルトン氏と共に練り上げた「21世紀の経済権利章典」を詳しく解説した。サンダースの政策を読み解くことよって、日本にも活用できる政策を検討し、世界の潮流となった反緊縮経済ロジックを学ぶ。

論文・報告書 · 31日 7月 2020
新型コロナウイルスは新自由主義の限界を明らかにした。もはや、新自由主義にすり寄った中道路線や、誤った健全財政主義では危機を克服できない。左派リベラルは、経済回復を約束するグリーン・ニューディールを打ち出し、気候危機と経済危機、そしてあらゆる不平等に立ち向かうべき時である。 ※この記事は、ハインリッヒ・ベル財団香港支局のHPに英語で掲載された論考の日本語版です。財団の許可を得て掲載します。

翻訳 · 11日 7月 2020
止め処ない環境破壊に対する警鐘が鳴り響く中、米国や欧州では、多種多様なグリーン・ニューディール政策案や、これらへの資金調達の方策を巡るアカデミックな議論が盛り上がってきている。通貨政策は、通常、曖昧模糊とした学術書や秘密裏に行われる官僚談合の中へと吸い込まれていくものだが、ここにきて突然脚光を浴びることとなった。

論文・報告書 · 03日 7月 2020
ベーシックインカム(BI)は最低限の生活を保障する現金を、政府が居住者に一律給付する制度です。世界的なコロナ経済危機によって収入が減少した人や、失業した人が急増していることで、再び導入を求める声が高まっています。2017年から2年間にわたってフィンランドで行われたBI導入実験は、受給者の満足度が高まったという結果でした。スペインでは経済危機対策として、生活保護に近いものながら「BI」という名の政策が導入されました。