このワーキングペーパーは、J.M.ケインズがHow to Pay for the War (戦費調達論) という小冊子の中で発展させた方法論に従い、グリーン・ニューディール (GND) の 「費用」 をリソース需要の観点から推定する。必要となる政府支出の推計値を単純に合計するのではなく、GNDプロジェクトの実施に充てられるリソース(resources)の利用可能性を評価するのである。これには、未利用あるいは未活用の資源を動員するとともに、資源を現在の破壊的・非効率的な利用からGNDプロジェクトに移行することが含まれる。我々は、通貨主権を有する米国政府にとって支払い能力(affordability)は問題にはならないと主張する。むしろ、十分な資源をGNDに回せない場合はインフレが問題となる。そしてインフレの可能性が高い場合には、ターゲットを絞った徴税や、賃金・価格規制、配給制、自発的な貯蓄などのインフレ対策が必要となるだろう。
概要:大恐慌によって、ニューディールが後押しされた。経済を回復させ、貧困者や失業者を救済し、国内の金融システムの根幹を改革するためである。今日では、気候変動の差し迫った悪影響により、各国政府はこれに似たグリーン・ニューディールを提案している。最近、Energy Research & Social Science誌で、ガルビンとヒーリーは、米国のグリーン・ニューディール提案の経済的実行可能性と、広範な社会的・貨幣的・環境的インプリケーションを批判的に検証した。
To cite this article: PARK Seung-Joon, Uiko HASEGAWA and Tadasu MATSUO (2020) “On the Anti-Austerity Green New Deal”, Review of Environmental Economics and Policy Studies, 2020, 13(1), pp. 27-41
Translation: Kenji Hayakawa