米国 における グリーン・ニューディール とは 何か、その 資金は いかにして調達するか
ガルビン、レイ&ノエル・ヘリー(2020)
翻訳:朴勝俊(2020/11/12)
<要約>
オカシオ=コルテス下院議員とマーキー上院議員によって提起された米国グリーン・ニューディール(GND
)決議は、気候変動の緩和と経済的不平等の解消を組み合わせた初めての包括的なプログラムであり、すぐに主要国の政策として採用される可能性があるものである。我々はその決議と、バーニー・サンダース上院議員のより詳細な、完全なコスト表を含むバージョンの特徴を概説し、社会科学的なエネルギー研究と政策立案にいかなる示唆を与えるかを検討する。我々は、その最も顕著な特徴のうちの 2
つに焦点を当てる。ひとつはマクロ経済学であり、もう ひとつは気候変動対策と経済的不平等改善との表裏一体の結びつきである。
我々はサンダースのGND が経済的に信頼できるものと考え、需要主導のケインジアン・マクロ経済学が GND に応用されていることが、政府や政策立案者、および市民に対して、貨幣の本質について再考するよう迫っていると論じる。
我々は社会科学者に対して、新古典派経済学の仮定に挑戦することを提案する。その仮定が、大気圏の破壊と不平等の両方を持続させているというのが、我々の議論である。 GND が気候変動防止と社会的平等を結びつけて捉えたことには、納得がゆく。公的債務に関する新古典派的理解〔訳注:財政破綻への懸念〕を脱して、〔訳注: MMT
のように〕インフレの影響と資源のニーズを慎重に評価する方向で議論する方が、より生産的な分析を生み出しうる。我々は以上を GND に関する最初の概説として提示し、他の方々にもこの分野の研究に参加するよう呼びかけ る。