このワーキングペーパーは、J.M.ケインズがHow to Pay for the War (戦費調達論) という小冊子の中で発展させた方法論に従い、グリーン・ニューディール (GND) の 「費用」
をリソース需要の観点から推定する。必要となる政府支出の推計値を単純に合計するのではなく、GNDプロジェクトの実施に充てられるリソース(resources)の利用可能性を評価するのである。これには、未利用あるいは未活用の資源を動員するとともに、資源を現在の破壊的・非効率的な利用からGNDプロジェクトに移行することが含まれる。我々は、通貨主権を有する米国政府にとって支払い能力(affordability)は問題にはならないと主張する。むしろ、十分な資源をGNDに回せない場合はインフレが問題となる。そしてインフレの可能性が高い場合には、ターゲットを絞った徴税や、賃金・価格規制、配給制、自発的な貯蓄などのインフレ対策が必要となるだろう。ケインズに倣い、我々はインフレ圧力が生じた場合の第一選択として、消費の先おくりを推奨する。我々は、インフレを発生させることなくGNDを段階的に導入できる可能性は高いが、もし物価上昇圧力が生じた場合には、消費をいくらか先送りすることで、その圧力を緩和するに十分であると結論づける。