■開催方法 ウェブセミナー 事前申込み制・参加無料

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■主催 神戸大学現代中国研究拠点、グリーン・ニューディール政策研究会

 

中国の環境・経済政策を読み解く

 

 昨年、中国は野心的な炭素削減目標を打ち出し、世界の注目を集めました。実は中国は数年前からグリーン・ニューディール的な大規模環境投資・雇用政策に着手しており、環境技術の革新や再生可能エネルギーの導入が進んでいる一方で、多くの課題も抱えています。中国の環境技術・政策とその戦略に精通した専門家をお招きし、環境政策、再生可能エネルギー戦略、電気自動車と蓄電池産業などについてお話しいただき、「中国版グリーン・ニューディール」の真相に迫ります。

 

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■発表資料

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第3回 第14次5カ年計画期の中国環境政策(2021年8月28日開催)
20210828第14次5カ年計画期の中国環境政策(染野憲治).pdf
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■開催日程・テーマ・講師

第1回 中国のグリーンニューディール〜黒色経済から緑色経済に転換する再エネ政策〜
626日(土)13:00-15:00 講師:佐藤一光(東京経済大学)
2011年にはじまった中国の第12次5ヶ年計画は、世界で初めてグリーン・ニューディール(GND)を前面に押し出した経済計画だと言われている。中国GNDは雇用政策としての可能性、国際社会の今後を方向付ける可能性、そして先進諸国と途上国の政策へ影響を与える可能性がある。中国のGNDの理念と実態、そしてその可能性と課題を読み解く。

 

佐藤一光(さとうかずあき)1979年、滋賀県生まれ。慶應大経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。慶應義塾大学経済学部助教、内閣府計量分析室、岩手大准教授を経て、20214月より現職。著書に『環境税の日独比較』。専門は財政学/環境経済学で、環境税やFITなどの再生可能エネルギーの普及政策について研究を行なっている。

 

第2回 グリーンとブラックのいいとこ取り-カーボンニュートラルへと続く中国の2030年目標の評価

717日(土)13:00-15:00 講師: 堀井伸浩(九州大学准教授)

カーボンニュートラルに世界が殺到する状況は中国にとってグリーン成長を後押しする絶好の好機。中国の太陽電池産業発展の経緯を分析し、その競争力が現在他国の追随を許さないものとなったことを示す。また中国の国内対策は2030年までは石炭火力の温存を含め急進的対策を避け、現実的に対応する見通しである。グリーンに突き進む世界の潮流の中で、冷徹に自らの国益を追求する姿勢からは学ぶべき点が多い。

 

堀井伸浩(ほりいのぶひろ)主な研究テーマは「中国の市場経済化とエネルギー産業」、「中国の大気汚染・気候変動政策」、「中国のグリーンイノベーション」。主な著作に、『中国の持続可能な成長-資源・環境制約の克服は可能か?』(編著)、『アジアの環境問題:政治・経済・社会からの視点』(編著)、「中国の気候変動対策と国際秩序形成に向けた野望」『国際問題』20206月号。

 

第3回 第14次5カ年計画期の中国環境政策

828日(土)13:00-15:00 講師: 染野憲治早稲田大学現代中国研究所招聘研究員)

2013年1月、中国で発生したPM2.5による大気汚染が国際的関心を集めた。中国共産党は生態文明建設を提唱し、第13次5カ年計画期(2016〜2020年)、中国の環境政策は大きな変革と進展を見せた。近年の中国の動向を振り返ると共に、本年3月に公表された第14次5カ年計画に基づき中国が目指す社会像とその実現に向けた環境政策を解説する。

 

染野憲治(そめのけんじ)1991年環境庁入庁。在中国日本大使館一等書記官、東京財団研究員、環境省中国環境情報分析官等を歴任。著書に『新版5分野から読み解く現代中国-歴史・政治・経済・社会・外交』(共著 晃洋書房、2016年)、『The Economics of Waste Management in East Asia』(共著 Routledge、2016年)、『日本環境問題:改善与経験』(共著 社会科学文献出版社、2017年)、論考に「中国における環境問題の動向と日中関係」(『日中経協ジャーナル』2021年2月号)など。

 

第4回 中国のEVシフトの実態と今後の展望

911日(土)13:00-15:00 講師: 湯進上海工程技術大学客員教授

中国は2060年までに中国の温室効果ガス排出を実質ゼロにする脱炭素社会を目指している。その目標を達成するためには製造業の構造転換やエコカーの普及など、大胆な戦略転換が必要になり、特にガソリン車では優位性のない中国が自動車産業の国際競争力を構築するためには、電気自動車(EV)は絶好のチャンスでもある。中国EVシフトの実態、課題及び今後の展望を講義する。

 

湯進タンジン専門は中国の産業経済・自動車産業。みずほ銀行法人推進部主任研究員、専修大学社会科学研究所客員研究員。自動車・電子産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日系自動車産業の中国ビジネスを支援。著書に『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版2021)、『クールダウン・エコノミー 日本の歴史的経験と中国の現状』(共著・執筆担当、専修大学出版局2021)、『2030 中国自動車強国への戦略 世界を席巻するメガEVメーカーの誕生』(日本経済新聞出版社2019年)など。

 

 ■コーディネーター

 

梶谷懐(神戸大学教授)

専門は現代中国経済。大学卒業後、中国人民大学に留学(財政金融学院)。著書に『現代中国の財政金融システム』(名古屋大学出版会、大平正芳記念賞)、日本と中国、「脱近代」の誘惑』(太田出版)、『中国経済講義』(中公新書)、『幸福な監視国家・中国 』(NHK出版新書、共著)など多数。

 

 

朴勝俊(関西学院大学教授)

研究テーマはドイツ・EU・東アジア等の環境経済学・環境政策。共同研究に『低炭素グリーン成長ロードマップ』(UNSCUP、2012)、著書に『環境税制改革の「二重の配当」』(晃洋書房、2009)、『財政破綻論の誤り』(青灯社、2020)。翻訳に『黒い匣』(バルファキス著、明石書店、2019)、『99%のための経済学』(堀之内出版、2021)など。

 


佐藤一光(東京経済大学准教授)

著書に『環境税の日独比較』。専門は財政学/環境経済学で、環境税やFITなどの再生可能エネルギーの普及政策について研究を行なっている。日本、中国、欧州の再エネ政策の経済効果に関心があり、近年は特に木質バイオマスに焦点を当てた研究を行なっている。論考に「エネルギー課税の長期的な国際比較」(『エコノミア』Vol.69 No.2)など。

 

 


 

長谷川羽衣子(グリーン・ニューディール政策研究会事務局長)

研究テーマは環境経済政策、特にグリーン・ニューディール政策。共著に『原発ゼロをあきらめない 反原発という生き方(明石書店2013)。翻訳に『黒い匣』(バルファキス著、明石書店、2019)、『99%のための経済学』(堀之内出版、2021)など。