バーニー・サンダースのグリーン・ニューディール政策(2019年発表)
朴勝俊訳(2023/8/29)
The Green New Deal (大統領候補としての経済・エネルギー政策公約HPより)
https://berniesanders.com/issues/green-new-deal/
※この文書は、小見出しや節番号の付け方がわかりにくく、文章の構造がつかみにくいが、元のままにしている。
原文に原典へのハイパーインクがあるばあい、脚注にリンクを示したが、すでにリンクが切れているものもある。
グリーン・ニューディール
気候危機は、米国が直面する最大の課題のひとつであるだけでなく、より公正で公平な未来を築くための最大のチャンスのひとつでもあります。
キーポイント
・ エネルギーシステムを100%再生可能エネルギーに転換し、気候危機の解決に必要な2000万人の雇用を創出します。
・ 化石燃料関連労働者を含む労働者たちと、コミュニティのための、公正な移行を確保します。
・ 最前線のコミュニティの、とりわけ恵まれない人々の、有色人種の、アメリカ先住民の、障害者の、子どもたちの、高齢者たちの、正義(Justice)を確保します。
・ 冷暖房や、公共交通機関、近代的なインフラ、高速ブロードバンドへの投資によって、アメリカの家庭のおカネを節約します。
・ グリーン気候基金への2000億ドルの拠出や、パリ協定への再加盟、気候変動との世界的な闘いにおける米国のリーダーシップの再確認など、全世界での排出量削減にコミットします。
・ 土壌・森林・草原地帯を癒すため、自然保護と公有地に投資します。
・ 化石燃料産業の強欲を止め、責任を負わせます。
★全文は30ページ近くになるため、PDFをDLしてご覧下さい
バーニーは主要プランの費用をどうやってまかなうか?
バーニー・サンダース, 2019年米国民主党大統領候補予備選挙キャンペーン・ホームページよりhttps://berniesanders.com/issues/how-does-bernie-pay-his-major-plans/
★全文は以下に張り付けていますが、PDF版もご利用下さい
■ 詳細
すべての人々のための大学、および学生の借金の帳消し
公立大学や総合大学、専門学校の授業料を無料にし、今後10年間ですべての学生の借金を帳消しにするためには、2兆2000億ドルの費用がかかります。この費用は、ウォール街の投機に対するささやかな課税によって賄われ、それは10年間で2.4兆ドルと見積もられています。計画を読むにはここをクリック。
社会保障の拡大
バーニーの社会保障〔Social Security制度〕拡大法案は、低所得の高齢者や障害者への給付を年間1300ドル以上増やします。また、アメリカの人々の1.8%を占める富裕層(年収25万ドル以上)に、勤労者世帯と同じ料率で社会保障費を負担させることで全額を賄います。
この法案はまた、社会保障制度の支払能力を2070年まで延長し、社会保障が今後50年間、資格を有するすべての米国人に支払うべきすべての給付金を、支払えるようにするものです。
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全ての人々のための住宅
人権としての住宅を保証し、ホームレスをなくすためのバーニーの提案は、今後10年間で2.5兆ドルを必要とします。その全額を、上位0.1%の階級、つまり純資産が少なくとも3200万ドル以上ある人たちに対する富裕税で賄います。(バーニーの富裕税は総額4兆3500億ドルを捻出します)。
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ユニバーサル・チャイルドケア&プリK
バーニーの提案は、アメリカのすべての家庭に普遍的な保育と就学前教育(プリK)を保証するというもので、1.5兆ドルの費用がかかります。その全額を、上位0.1%の階級、つまり少なくとも3200万ドルの純資産を持つ人々に対する富裕税で賄います。(バーニーの富裕税は総額4兆3500億ドルを捻出します)。
計画を読むにはここをクリック。
医療費負債をなくす
バーニーは、7900万人のアメリカ人が抱える810億ドルの医療費滞納をすべて解消する提案を発表しました。その全額を、CEOに一般労働者の50倍以上の報酬を支払っている大企業に対する所得不平等税を設けることで賄います。
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グリーン・ニューディール
バーニーが提出した16兆3000億ドルの気候対策案は化石燃料から、エネルギー効率化と再生可能エネルギーへと、エネルギーシステムを根本的に変革するものです。また、その過程で2000万人の高賃金の組合雇用が創出されます。
その費用は以下のようにして全額回収できます:
・ 訴訟や課徴金、税金を通じて、化石燃料産業に汚染に対する支払いをさせ、連邦化石燃料補助金を廃止することで、3兆0850億ドルを調達します。
・ 地域の電力販売管理機関(Power Marketing Administrations)が、生産したエネルギーの卸売によって6兆4000億ドルの収入を得ます。この収入は2023年から2035年まで徴収され、2035年以降は運営・維持費を除けば電気代は実質無料となります。
・ 地球規模の石油供給を確保するための軍事作戦を縮小することで、軍事費を1兆2150億ドル削減します。
・ この計画によって創出される2000万人の新規雇用から2兆3000億ドルの新たな所得税を徴収すします。
・ 数百万人の高賃金の組合雇用の創出により、連邦および州のセーフティネット支出の必要性が減り、1兆3100億ドルが節約できます。
・ 大企業に公平な税負担をさせることで、2兆ドルの税収を上げます。
キーポイント:
・ 気候の破局を回避することで、10年間で2.9兆ドル、30年間で21兆ドル、80年間で70.4兆ドルの節約になります。
・ もし私たちが行動を起こさなければ、今世紀末までに米国は34兆5000億ドルの生産額を失うことになります。
計画を読むにはここをクリック。
メディケア・フォー・オール(国民皆保険)
イェール大学の疫学者たちが2020年2月15日に発表した研究によると、バーニーが提出した「メディケア・フォー・オール法案」は毎年4500億ドル以上の医療費を削減し、6万8000人の不必要な死を防ぐことができます。
現在の医療制度で今後10年間に必要となる費用:
今後10年間、現在の機能不全に陥った制度を維持した場合、国民医療費は約52兆ドルになると予測されています。
どれだけ節約できるか:
イェール大学の研究などによれば、「メディケア・フォー・オール」はこの期間に約5兆ドルの節約になります。
52兆ドル-5兆ドル=総額47兆ドル
どのように医療費を調達するか:
現在の連邦政府や、州政府、地方政府の支出は、今後10年間で総額約30兆ドルになると予測されている。バーニーが提案した収入案〔資金援助案〕は総額17.5兆ドルです。
30兆ドル+17.5兆ドル=合計47.5兆ドル
情報源:
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)33019-3/fulltext#%20
2016年以来バーニーは、イェール大学の研究にのっとって、彼が提出した「メディケア・フォー・オール法案」の費用を十分にまかなう資金調達メニューを提案しています。
これらのオプションには以下のものが含まれます:
● 従業員が負担する、所得の4%の保険料を設定します。ただし4人家族の場合には、最初の所得2万9000ドルを免除します。
2018年に、一般的な勤労者世帯は、民間医療保険会社に平均6015ドルの保険料を支払いました。私たちのオプションでは、所得6万ドルの典型的な4人家族の場合、2万9000ドルを超える所得に対して、メディケア・フォー・オールのための財源として、所得4%に相当する保険料を支払うことになります。しかしそれは〔31000ドル×0.04なので〕年間わずか1240ドルですから、年間4775ドルの節約になります。年収2万9000ドル未満の4人家族は、この保険料を支払う必要がありません。
(収入増加額: 10年間で約4兆ドル)。
● 給与の7.5%に相当する保険料を雇用主に支払わせますが、小規模企業を保護するために、給与総額の最初の100万ドルの給与は免除します。
2018年に、雇用主は4人家族の労働者に平均1万4561ドルの民間医療保険料を支払いました。私たちオプションの下では、雇用主は「メディケア・フォー・オール」の財源を賄うために、7.5%の給与税を支払うことになりますが、その額はわずか4,500ドルです。つまり年間1万ドル以上の節約となります。
(歳入増加額: 10年間で5兆2000億ドル以上)。
● メディケア・フォー・オールのもとでは不要となる、医療租税支出〔租税減免措置〕を廃止する。
(歳入増加額: 10年間で約3兆ドル)。
● 1000万ドル以上の所得に対して、所得税の最高限界税率を52%に引き上げる。
(歳入増加額: 10年間で約7000億ドル)
● 州税・地方税の所得控除の上限を、すべての控除項目を合わせて、夫婦で5万ドルとする。
(歳入増加額: 10年間で約4000億ドル)
● キャピタル・ゲインに給与所得と同じ税率で課税し、デリバティブや同種交換(like-kind exchanges)、遺贈贈与されたキャピタル・ゲインへのゼロ税率を用いた賭博的行為を取り締まる。
(歳入増加額:10年間で約2兆5000億ドル)。
● 「99.8%の人々のための法律」を成立させ、遺産税(estate tax)の非課税枠を2009年の350万ドルに戻し、重大な抜け穴を閉鎖し、10億ドルを超える遺産については最高税率を77%に引き上げるなど、段階的に税率を引き上げる。
(歳入増加額: 10年間で3360億ドル)。
● 連邦法人税の最高税率を35%に戻すことを含む、法人税改革を実施する。
(歳入増加額: 3兆ドル、うち1兆ドルは「メディケア・フォー・オール」の財政支援に、2兆ドルは「グリーン・ニューディール」に充てる)
● 極端な富裕層に対する課税で集めた3500億ドルを「メディケア・フォー・オール」の財源に充てる。
参考: 「バーニーの公約の費用と財源」要約表 (本稿に基づき朴勝俊作成) 億ドル
費用額 |
期間 |
財源額 |
財源項目 |
|
全ての人々のための大学、借金帳消し |
22000 |
10年間 |
24000 |
ウォール街投機税 |
社会保障(Social Security)の拡大 |
50年間 |
? |
富裕層の社会保障負担 |
|
全ての人々のための住宅 |
25000 |
10年間 |
43500 |
純資産で上位0.1%の 階級に対する富裕税 |
ユニバーサル保育&プリK |
15000 |
? |
||
医療費負債をなくす |
810 |
? |
810 |
大企業所得不平等税 |
グリーン・ニューディール |
163000 |
15年間 |
163100 |
下記合計 |
30850 |
化石補助金廃止 |
|||
64000 |
電力卸売り |
|||
12150 |
軍事費削減 |
|||
23000 |
所得税自然増収 |
|||
13100 |
セーフティネット節約 |
|||
20000 |
大企業課税(法人税) |
|||
メディケア・フォー・オール ただし、現在の機能不全の医療制度 メディケア・フォー・オールによる節約 |
470000 |
10年間 |
475000 |
下記合計 |
520000 -50000 |
300000 |
既存の政府支出 |
||
175000 |
バーニーの追加支出(以下計) |
|||
40000 |
公的医療保険料 |
|||
52000 |
雇用主の給与税 |
|||
30000 |
医療の租税減免廃止 |
|||
7000 |
富裕層所得税引き上げ |
|||
4000 |
地方税所得控除制限 |
|||
25000 |
キャピタルゲイン課税 |
|||
3360 |
遺産税改革 |
|||
10000 |
大企業課税(法人税) |
|||
3500 |
富裕層課税 |