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ILO(国際労働機関)「公正な移行のためのガイドラインーすべての人々にとって環境的に持続可能な 経済・社会を目指して」(朴勝俊訳)

私たちのビジョン

 

1. ディーセント・ワーク・アジェンダの4つの柱(社会的対話、社会的保護、労働における権利、雇用)は、持続可能な開発の不可欠な構成要素であり、強力で持続可能かつ包括的な成長と開発のための、政策の中心でなければなりません。


2. 持続可能な開発とは、将来の世代が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすべきであることを意味します。持続可能な開発には、経済的側面、社会的側面、環境的側面の3つの側面があり、これらは相互に関連し、同等の重要性を持ち、共に取り組まなければなりません。


3. 私たちの包括的な目標である、3つの側面での持続可能な開発を達成するために、世界共通の目的を共有しつつも、各国の状況や優先事項に応じて、それぞれの国が利用できるさまざまなアプローチやモデル、ツールがあります。


4. 本稿で述べられているように、環境的に持続可能な経済への、万人のための公正な移行は、うまく管理され、万人のためのディーセント・ワークや、社会的包摂、貧困の撲滅という目標に寄与するものでなければなりません。

 

5. ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と、貧困撲滅、環境の持続可能性は、21世紀を代表する3つの課題です。経済は、増加する世界人口のニーズを満たすために生産的でなければなりません。社会は包括的で、すべての人にディーセント・ワークの機会を提供し、不平等を是正し、効果的に貧困を解消しなければなりません。


6. 経済・企業・雇用のグリーン化に言及するとき、私たちはそれを持続可能な開発と貧困撲滅の文脈で考えます。これらは、持続可能な開発を実現するための重要な手段のひとつであり、政策立案のための選択肢を提供するものです。この意味で、私たちは、国連持続可能開発会議(リオ+20)で採択された「私たちが望む未来」という文書を歓迎します。


7. 経済のグリーン化は、社会的な目標を達成するための多くの機会をもたらします。先進国でも途上国でも、経済の新たな成長エンジンとなる可能性があり、貧困撲滅と社会的包摂に大きく貢献するディーセント・グリーン・ジョブを差し引きで増加させます。経済のグリーン化は、天然資源を持続可能な形で管理し、エネルギー効率を高め、廃棄物を削減する能力を高めるとともに、不平等に対処し、レジリエンス(回復力や強靱さ)を高めます。雇用の緑化と、従来部門と新興部門の両方におけるグリーン・ジョブの促進は、競争力のある、低炭素で環境的に持続可能な経済と、持続可能な消費と生産のパターンを育成し、気候変動との闘いに貢献します。


8. 環境的・社会的に持続可能な経済への移行は、雇用の創出や、雇用の改善、社会正義、貧困撲滅の強力な推進力となります。エネルギーや資源の効率を高め、汚染を防ぎ、天然資源を持続的に管理することで、すべての企業や仕事をグリーン化することは、イノベーションをもたらし、レジリエンスを高め、貯蓄を生み出し、新たな投資や雇用を促進します。


9. 持続可能な開発は、労働世界(the world of work)の積極的な関与によってのみ可能となります。持続可能な企業を育成し、すべての人々にディーセント・ワークを提供することによって、現在と将来の世代のために環境を保護し、貧困を撲滅し、社会正義を推進するうえで、政府・使用者・労働者は受動的な傍観者ではなく、新しい働き方を開発することができる、変化の担い手なのです。


10. 環境的に持続可能な開発への道には、ILOと加盟国の幅広い努力と活動が必要です。加盟国はそれぞれの国の現実に合わせて、能力や行動力を大きく変化させています。この文脈において、ILOのマンデート(権能)の範囲内での協力や、情報共有、共同行動は貴重なものとなるでしょう。


11. 私たちは、「環境と開発に関するリオ宣言」(1992年)で示された「共通であるが差異ある責任」の原則を想起します。


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ILO(国際労働機関)「公正な移行のためのガイドラインーすべての人々にとって環境的に持続可能な 経済・社会を目指して」(朴勝俊訳)
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ILO 2015 Guidelines for a Just Transitio
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