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ファクトチェック:電気自動車が気候変動にどのように貢献するか(ハウスファーザー著、朴勝俊訳)

 

Factchecks:https://www.carbonbrief.org/factcheck-how-electric-vehicles-help-to-tackle-climate-change
※202072日更新。電力の炭素原単位や電池の製造に関する最新のデータを反映して、ライフサイクルの排出量を修正しました。

 

電気自動車(EV)は、気候変動に関するグローバルな目標を達成するための重要な要素です。パリ協定の目標である2℃または1.5℃以下に温暖化を抑制する緩和策の中で、電気自動車は重要な位置を占めています。しかし、EVから直接温室効果ガスが排出されることはありませんが、EVは世界の多くの地域で化石燃料から生産された電気で走行しています。また、車両の製造、特にバッテリーの製造にもエネルギーが使われています。メディアの最近の、誤解を招くような報道を受けて、Carbon Briefが電気自動車の気候への影響について詳細に分析しました。この分析で、Carbon Briefは次のことを発見しました。

 

  • 欧州全体で見ると、EVは従来型(内燃機関)の自動車に比べて、そのライフサイクルにおける排出量がかなり少ない。
  • 石炭集約型の発電を行っている国では、EVのメリットは小さく、ハイブリッド電気自動車など、最も効率の良い従来型の自動車と同等のライフサイクル排出量になる可能性があります。
  • しかし、各国が気候目標を達成するために発電の脱炭素化を進めると、既存のEVでは走行時の排出量が減少し、新規のEVでは製造時の排出量が減少します。
  • 2019 の英国では、日産リーフEVを運転した場合の、1kmあたりのライフサイクル排出量は、発電の炭素原単位の低下を考慮する前でも、平均的な従来の車の約3分の1倍となりました。
  • 電気自動車と従来の自動車との比較は複雑です。電気自動車と従来型自動車の比較は、自動車の大きさや、使用する燃費予測の精度、発電時の排出量の算出方法、想定される運転パターン、さらには自動車が使用される地域の天候などによって異なります。どこにでも適用できる単一の推定値はありません。

 

また、電気自動車のバッテリー生産に伴う排出量については、研究によって大きく異なる数値が出ており、不確実性が高いです。電池の価格が下がり、自動車メーカーが航続距離の長い大型の電池を搭載するようになると、電池生産に伴う排出量が、電気自動車の気候変動対策に与える影響が大きくなります。

 

 

電池生産時の排出量の約半分は、電池の製造や組み立てに使用される電力によるものです。ベストセラー商品であるテスラモデル3に搭載されているバッテリーのように、比較的、低炭素の電力が用いられている地域や、再生可能エネルギーを利用した工場でバッテリーを生産することで、バッテリーの排出量を大幅に削減することができます。

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