グリーン・ニューディールを名乗らない、グリーン・ニューディール公約
11月3日、アメリカ大統領選挙が投開票される。民主党のバイデン候補は、トランプ大統領が軽視する気候変動問題に関して、画期的な公約を掲げている。100%再生可能エネルギー社会への移行である。これは民主党の大統領候補指名争いで最大のライバルだった、熱狂的な支持者を持つサンダース議員や、彼を支持したオカシオ=コルテス議員が掲げた「グリーン・ニューディール」を、その名称以外は、ほとんどそのまま取り込んだものと言える。サンダースやオカシオ=コルテスらは、しばしば「過激な左派」というレッテルを貼られるため、バイデンは保守層や中道層の票を取りこぼさないために、敢えて「グリーン・ニューディール」という名称を全面に押し出さなかったと考えられる。コロナ危機からの経済回復は、持続可能な経済への公正な移行でなければならない。グリーン・ニューディールと同等の政策をバイデン候補が打ち出したいま、来たる大統領選の結果が、世界の未来を大きく左右する可能性もある。
ただし、バイデン公約の「イノベーション」という項目には「先進的な原子力」が含まれており、この点は批判的に検討されるべきである。
※バイデンのグリーン・ニューディール的政策の日本語訳全文は、以下のPDFをDLしご覧頂けます。